2010年は、国民食・カレーうどんが日本に広まって100年を迎えた年だったそう!その記念すべき年に、愛知県豊橋市では「豊橋カレーうどん」が誕生。大ブームを起こし、B級グルメとは一線を画す取り組みの裏にある、「街をもっと元気にしたい」という地元の熱い思いを潜入取材!
(ロケーションジャパン43号・48号・50号に記載)
愛知県の南東部にある街で仕掛けられた、とんでもないご当地グルメ。どうとんでもないかって?まず第一に、その内容がとんでもない!見た目は普通のカレーうどんなのに、食べ進めるとうどんの下から「とろろがのったごはん」が出てくる! そして第二に、その勢い。昨年4月末に産声を上げたばかりのこの「豊橋カレーうどん」は、最初の2日間で3000食、半年間で実に15万5000食を売り上げ、今も現在進行形で発展しているというのだから。その発展は現在進行形新名物にみんなが夢中!そもそもの始まりは、街に元気を取り戻したいという思いを持った豊橋商工会議所・豊橋市・豊橋観光コンベンション協会の会話から。
仕掛け人の一人は、前述の「神懸かり」的なひらめきを得た豊橋観光コンベンション協会の鈴木惠子さん。暮らしやすい街として知られてきた豊橋市も不況の波には逆らえず、「何とかしなくては」と目をつけたのが、豊橋市民のソウルフードであるうどんだった。「残業で食べるカレーうどんっておいしいよね」、「そこにごはんがあったら、最後までルーを味わえてうれしいよね」同協会の藤沢英樹さんとのたわいもない会話の中で、構想が生まれていった。
"地産地消"だけにこだわらない。それよりも大切にしたのは、人の興味をひくためのインパクト感だ。そこで名古屋の名物・ひつまぶしを参考に、味わいの変化が楽しめるよう、とろろをプラスすることに決めた。カレーうどん×とろろごはん。誰もが知っていて、誰もが好きなのに、誰も食べたことのない、豊橋カレーうどん最強の姿が浮かんだ。もちろん、現在のカタチに落ち着くまでには、さまざまな試行錯誤があった。しかし「とろろで包んだごはんの上にカレーうどんをのせる」というルールが定まり、地域資源∞全国展開プロジェクトの支援が加わってからは、一気に進行。参加を表明したうどん店は、各店独自の個性豊かな豊橋カレーうどんを生み出した。そしてデビュー後わずか1カ月で大ブームが発生。店主たちはうれしい悲鳴を上げた。目指すは、讃岐、稲庭に続く"三大うどん"の聖地。その取り組みは、今や街おこしの視点を越えて、全国から熱い注目を集めている。
豊橋のうどん店は、自家製麺率100%。
それがあってはじめてできるのが、豊橋カレーうどん。下からごはん、とろろ、カレーうどんの順に入れ、トッピングには、豊橋が生産量日本一を誇るウズラの卵を使用するのがルール。
しかし何よりも大切なのは、「愛情を持ってつくる」ことだとか♡各店のカレーうどんには、店主たちの熱い思いがボリュームたっぷり詰まっています!
日本三大うどんといえば、香川の讃岐うどん、秋田の稲庭うどん、そして…、アレ、あとひとつは何だっけ? 群馬の水沢うどんとも長崎の五島うどんとも、はたまた愛知のきしめんとも言われている最後の一席を狙っているのが豊橋うどんだ。まだまだ知名度は高くはないが、「豊橋カレーうどん」を皮切りに夢は大きく、いつか全国的に定着することをめざし地域資源∞全国展開プロジェクトの一環で豊橋商工会議所など街の有志の間で発足されたのが“ええじゃないか豊橋華麗衆”だ。「最初に“うどんで街おこし”の話を聞いた時は、誰もが自分たちの店に客を増やすことばかりを考えました。でも、カレーうどんで人が集まってくるにつれて、もっと地元のために何かしたいという思いに変わったんです。街全体を盛り上げたい、みんなの力で豊橋を有名にしようと日々作戦を立てています」 まずは人に来てもらわなければ始まらない。豊橋観光コンベンション協会の鈴木さんや藤沢さんとタッグを組んで、スタンプラリーや他産業とのコラボなどを計画している。「きっかけはカレーうどんでしたが、いずれは普通のうどんにも注目してもらえるようアピールしていきたい」讃岐や稲庭と肩を並べる未来をめざして。ご当地グルメの飛躍と、“ええじゃないか豊橋華麗衆”の活躍から目が離せない。